『有明月の灯（ありあけづきのともしび）』

むかしむかし、
山あいの小さな町に、レイナという娘がいました。

町の人々は皆、朝とともに働き、
夜になれば早く眠りましたが、
レイナだけは夜を好み、静かな月を眺めて過ごしていました。

その夜も、町が眠りについたあと。
レイナはひとり、川べりに立っていました。

空には、有明月――
朝が近づいても空に残る、かすかな月が浮かんでいました。

「どうして、あなたはまだ空にいるの？」
レイナがそっと尋ねると、
風に乗って、かすかな声が響きました。

――“消えそうでも、まだ照らしたい想いがあるから”

レイナは胸に手を当てました。

最近、心の奥に小さな願いが芽生えていました。
けれど、人には言えず、形にもできず、
自分の中だけにしまっておいた想い。

「わたしにも、消せない光がある……
　でも、どうしても怖いの」

有明月は、柔らかく川面を照らし続けました。

それは満月のような強さではなく、
朝を待つだけの、ひそやかな光。

“強くなくていい。ただ、在りつづければいいのだよ”

レイナの目に、涙がひと粒こぼれました。

それは悲しみではなく、
胸の奥でずっと灯っていた光に、やっと気づいた涙でした。

やがて空が明るみはじめ、

有明月は静かに姿を消しました。
けれどその光は、レイナの心の中に、そっと残り続けたのです。

その日から、レイナは夜ごと少しずつ、
小さな歌を紡ぎはじめました。

誰に聞かせるでもなく、
けれど確かに――“始まっている何か”を信じながら。

🌱 奈央さんのつぶやき

見えなくても残る光は、
　心の芯に宿る、あなただけの始まり。

朝が来る前の静けさでこそ、
　その灯りは、そっと息をしているのです。

🗓 暦と月のリズム

「甲」は天に伸びる若木。
「寅」は春の兆しを宿す力。

まだ寒い土の中で動き出す“芽吹きの準備”を象徴し、
内側で生まれた想いを、そっと形にし始める日 です。
今日は“行動”より“意志の確認”が吉。

喜び・言葉・交流の星。
心を閉じず、小さな笑いや会話を通して、
“人とのつながり”が癒しになるタイミング。
完璧じゃない言葉でも、伝えてみると道が和らぎます。

一般には凶とされますが、
「人とのつながり”が癒しになるタイミング」。
気持ちのリセットや、心の整理、新しい目標の再設定にぴったり。

夜明け近くまで残る月。
消えることなく、そっと残る光。
それは“まだ終わっていない希望”の象徴。
心が諦めそうなときこそ、もう一度だけ灯りをともすチャンス。

今日は「心の奥で静かに定まる日」。

決断するのではなく、
“心の芯”を確かめる時間を持ってください。

焦らず、比べず、
ひとつ息をして──それでも残る想いが、
あなたの道になります。

タイプ	おすすめ	開運の理由
🕯 グッズ	木製トレイ・小さな花瓶	「小さな整え」で心の秩序を呼び戻す
🥣 フード	さつまいものポタージュ・はちみつレモン	土（安定）＋甘み（再生）で内面を温める