静かな公園のベンチに腰をおろした奈央さん。
目の前には、ゆっくりと葉を揺らす木々と、鳩の歩く音だけ。
忙しい朝も、気がかりな午後も、
いまだけは、置いてきた。
ポケットから取り出したのは、昨日読みかけの小さな文庫本。
でも、ページを開く前に、そよ風が髪をなでていった。
──あぁ、ただ座ってるだけでもいいんだな。
そう思ったら、ふっと肩の力が抜けた。
ベンチは、誰かを迎え入れるためにそこにある。
そして、ただ静かに「おかえり」と言ってくれる。
そんな場所が、この世界にひとつでも多くあったら──
奈央さんは、そう思いながら目を閉じた。
このブログに登場する“奈央さん”は、どこにでもいるようで、どこにもいない架空の女性です。
静かな暮らしの中で、小さな違和感や嬉しさ、時には迷いも感じながら、一歩ずつ前に進んでいきます。
季節の移ろいや日常のささやかな風景のなかで、ふと立ち止まり、心を見つめ直す──そんな彼女のつぶやきが、今を生きるあなたの「気づき」や「癒し」につながればうれしいです。
物語のようでいて、どこかリアル。奈央さんの世界が、あなたの心にそっと寄り添いますように。
