山のふもとに、小さな村がありました。
その村の外れに、誰も見向きもしない古い畑がひとつ。
そこに暮らすのは、ひとりの青年・リオ。

彼は毎朝、土を耕しては、
「芽が出ないなあ」とつぶやいていました。

春に種をまいたのに、
夏が過ぎても、何も育たない。
周りの人たちは笑って言いました。

「そんな古い畑、もうダメだよ。
　他の場所に行けばいいのに。」

けれどリオは首を横に振りました。

「この土が、きっとまた息をする日が来る。
　だから待ってあげたいんだ。」

そう言って、今日も小さなスコップで
黙々と土をならしました。

秋の風が吹き始めたある朝。

リオは、畑の片すみにある小さな丘で、
ふと、土の匂いを感じました。

それは夏のころよりずっと深く、
静かで、あたたかな匂いでした。

「……生きてる。」

そう感じたリオは、
土に手をあてて目を閉じました。

そのとき――
ひとすじの風が頬をなでました。

風の中に、どこかで聞いたような声がしました。

「焦らなくていい。
　芽は見えなくても、もう動きはじめている。」

その声はやさしくて、
リオの心の奥にすっと沁みていきました。

次の日も、またその次の日も、
リオは畑に通い、静かに土に話しかけました。

そして、ある朝。
夜露のきらめく畑のすみで、
ほんの小さな緑の芽が顔を出していました。

それは指先ほどの、頼りない芽。
けれど、リオにはわかりました。

この小さな命は、
ずっと前から“未来の中”で生きていたことを。

リオはそっと手を合わせてつぶやきました。

「ありがとう。待っていてくれたんだね。」

その日の空は、
どこまでも澄んで、あたたかく輝いていました。

🌙 奈央さんのことば

見えない時間にも、
たしかに命は動いている。

だから焦らず、
今日という日を、静かに耕していこう。

未来の種は、
あなたの中でも、そっと芽吹いているから。

この物語は、
「努力しているのに結果が見えない」と感じている人へ。

動きが止まったように見える日も、
実は「根が育つ時間」なのです🌱

🍂 心の天気予報｜2025年10月13日（月）

🗓 暦と月のめぐり

“柔らかな草木が風に揺れる日”。
乙（きのと）は繊細さと成長、
卯（う）は扉を開く動きの気。

今日は**「優しく整えて、そっと開く日」**。
強く進むより、心をしなやかに保つことが開運に。

責任感や決断の星ですが、
今日は“自分に厳しくなりすぎないこと”が大切。
完璧を目指すより、
「今の自分を肯定する」 と流れが整います。

何事にも吉。
ただし“無理な勢い”より、
丁寧に始めることに福が宿る日。
新しい道具や手帳の使い始めに◎

半月が西に傾く静かな夜。
この月は「削ぎ落としと内観」の象徴。
足すより、手放すことで心が満ちるタイミング。

今日は「やわらかく整える日」。

悩みや迷いは、結論を急がず
ただ心に触れてあげて。

ゆっくり深呼吸をすれば、
見えないところで未来が形になっていきます。

種類	おすすめ	理由
🕯 グッズ	白いハンカチ・布小物	感情をやさしく包む“浄化”と“保護”
🥣 フード	くるみパン・カモミールティー	心に温度を戻し、緊張をゆるめる