満ちる前にこそ、光は強くなる

古い町の小さな駅前にあるカフェ。
夜になると、カウンター席から、ちょうど東の空に月がのぼってくる。

その日、奈央は静かにコーヒーをすすりながら、外を見ていた。
空には、ほとんどまんまるの月。
でも、あと少しだけ欠けている。

「なんだか、わたしみたいだな」
心の中で、奈央はぽつりと思った。

ここ数日、ずっと考えていたことがある。
続けてきた仕事のこと、これからの道のこと。
まわりから見たら順調そうでも、心の中はいつも少しだけ揺れている。

「もっとできるはずだった」
「これでよかったのかな」
そんな声が、ふとしたときに浮かんでくる。

でも、不思議と今夜は、その声がやさしく感じられた。
「満月になる前って、少しざわつくのよ」
前に、カフェのマスターが言っていたのを思い出す。
「でもね、満ちる前にこそ、光は強くなるんだって」

奈央は、窓に映る自分の姿を見つめた。
表情は疲れているけれど、どこかに、静かな決意が宿っていた。

「今日も、ちゃんと生きてたな」
それだけで、十分じゃないか。

帰り際、奈央は小さく空に向かってつぶやいた。
「明日は、少しだけ自分を褒めてみよう」

満ちかけの月が、音もなくうなずいていた。

☁️🌕 明日の心の天気予報 – 2025年8月8日（金）

　　　　　── 己酉・九紫火星・月齢14.3・友引 ──

意味：感情やエネルギーがピークに向かって高まりやすい。
心への影響：内面の想いが「かたちにしたい」方向へと自然に向かいやすい時。
見方：心に溜めていたものが溢れそうになる感覚。「何かを完了させたい」「何かが見えてきた」タイミングです。けれど満月前は不安定にもなりやすく、静けさと休息が必要です。

意味：美意識、芸術、感情の発露、そして直感力を象徴する星。
心への影響：感受性が強まり、インスピレーションが湧きやすい。でも同時に、感情の起伏も大きくなりがち。
見方：この日は、心の「見えない炎」が静かに燃えているような時。何かを表現したい衝動、言葉や創作によって“内なる光”を伝えたい気持ちが高まります。恋愛や人間関係でも感情が強く出やすい日。

意味：己（つちのと）は「内省・整理・育む」、酉（とり）は「収穫・成熟・完成」の気を持つ。
心への影響：自己調整や内面を整えるエネルギーが流れやすい。論理的な思考力も高まる。
見方：感情に流されるのではなく、感情を観察し、内面の本音を整える視点が大切。九紫火星で浮き彫りになった「願い」や「違和感」を、現実的にどう扱うかを考える好機。