手放せば、また満ちてくる

山あいの村に、ひとつの小さな泉があった。
水面はいつも穏やかで、朝は霧をまとい、夜は星を映す。
村人たちは、この泉を「心の鏡」と呼び、
悩みがあると、そっと水にささやいて帰っていった。

2025年8月12日――
夜空には、満ちていた月がゆっくりと形を削られ、
まるで深呼吸をするように静かに欠けていた。

その日、ひとりの旅人が泉を訪れた。
旅人は、道中でたくさんのものを抱えすぎて、
心が重く、歩みが遅くなっていた。

泉のほとりに腰を下ろすと、
木々の間から昼の光がこぼれ、
ちょうど午の刻――泉の水面が金色に染まった。

その光を見て、旅人はふと、手に握っていた古びた地図を泉に沈めた。
「もう、この道は終わりでいい」
地図は水に溶け、波紋となって広がっていった。

泉は静かにささやく。
「手放せば、また満ちてくる」

その声に導かれるように、旅人は深く息を吸い込んだ。
土と水が混じる香りが胸を満たし、
重さが少しずつほどけていく。

そして旅人は気づいた――
新しい道は、もう足元から始まっていたのだと。

この物語の泉は、今日のあなたの心かもしれないね。
手放すことも、満たすことも、
すべては同じ水の循環の中にあるんだよ。

🌙 明日の心の天気予報｜2025年8月12日（火）
　　干支：癸丑（みずのとうし）｜六曜：赤口｜九星：五黄土星｜月齢：18.3

――満月を過ぎ、静かに欠けゆく月が夜空に浮かぶ頃。
土の星がゆっくりと呼吸するように、変化の中心で心を整える一日になるかもしれないね。
昼のひとときにだけ射す吉の光は、深い森の木漏れ日のように、そっと背中を温めてくれるだろう…

🌙 月齢18.3（欠けゆく月）
満ちていた光が少しずつ薄れ、静けさが深まっていく時期。外に広げていた気持ちや行動を、内にたたみ込むような流れだね。大きな動きよりも、手元のことを丁寧に整えるのが向いている時期かもしれない。

🪨 干支：癸丑（みずのとうし）
「癸」は柔らかな雨や湧き水のような水の気、「丑」は芽吹きを待つ土の気。水が土をしっとり潤し、時間をかけて命を育てる組み合わせだね。急ぐよりも、根の奥で静かに育つものを信じる日。

🔶 九星：五黄土星
五行の中心であり、変化や再生の力を持つ星。良くも悪くも影響が大きく、人や出来事の核心に触れやすい日かもしれない。落ち着いて、足元を固めるように過ごすと力になるよ。

⏳ 六曜：赤口
午の刻（11〜13時）のみ吉。他の時間帯は慎重さが大切。静かに、必要な時にだけ動くほうがうまくいく流れ。

全体としては、
**「外から内へ、光から陰へ」**と移ろう季節の呼吸のような日。
焦らず、一つひとつの音や香りを味わいながら過ごすことで、土と水が混ざり合い、新しい芽が芽吹く準備が整っていく…そんな時間だね。

🌿奈央さんからのひとこと

今日は、静かに育つ種のように、自分の中にある力を温める日だよ。
外のざわめきから少し離れて、心の土を耕し、深く呼吸をしてみよう。

午（うま）の刻、陽の光が一番やさしく降り注ぐ時間に、
小さな行動や言葉をひとつ置くと、
それが未来で大きな実りとなって返ってくるかもしれないね。

欠けゆく月が教えてくれるのは、
「減ることは、満ちるための準備」ということ。
手放すことで、あなたの手はまた新しい光を受け取れるんだよ。

今日のあなたは、静かな力を秘めた泉のよう。
その透明さが、周りの心も潤していくはずだね。

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