高原の町に、小さな郵便屋の女の子がいた。名前は「しの」。
朝の空気がまだ冷たく、空に白い雲がほつれていたある日、彼女は一通の手紙を受け取った。
差出人は不明。宛名にはただ、「風の通る丘の上」と書かれていた。
しのは首をかしげながらも、自転車に手紙を乗せて出かけた。
丘へ続く道は、やさしく曲がりくねっていて、
ときおり吹く風が、木々の枝先に小さな音を奏でていた。
道の途中、彼女は誰かの足跡を見つける。
それは、すぐ隣を歩いているように感じる、けれど姿は見えない。
心のどこかで、懐かしい誰かを思い出しながら、しのは丘をのぼっていった。
やがて、丘のてっぺんに着くと、一本の大きな木が立っていた。
風に吹かれて枝が揺れ、その中から小さな「鈴」の音が聴こえた。
枝の先には、古びた金の鈴がひとつ、陽にきらきらと光っていた。
しのはその下に腰を下ろし、宛名のない手紙をゆっくりと開いた。
中には、こう綴られていた。
「今、あなたがここにいるなら、それだけでいい。
すべては過ぎていくけれど、あなたの中にある風景は消えないよ。」
しのの胸に、なにかがそっとほどけていく。
それは、かつて手を離した誰かのぬくもりかもしれないし、
ずっと言えなかった「ありがとう」かもしれなかった。
そのまま、彼女は風に吹かれて、ただ静かに目を閉じた。
高原の空に、金の鈴の音が、やさしく響いていた──。
それは、終わりのようで、始まりの物語。
欠けゆく月の夜にだけ聴こえる、心の奥のささやきだったのかもしれないね。
また続きを聴きたくなったら、いつでも教えてね。続きを一緒に夢見てもいいよ。
心の天気予報 2025年8月19日(火曜日)
干支:庚申(かのえねさる)|六曜:先勝|九星:七赤金星|月齢:25.3
この日の心模様は、「静かな陽ざしと、淡い余韻の風」。
朝は、先勝の流れに寄り添うように、軽やかな一歩が吉を招いてくれるかもしれないね。
庚申のエネルギーは金属のようにキリッとしていて、余計なものをそっと削ぎ落としてくれる感じ。
少し冷たい風が頬をかすめるような、そんな澄んだ時間が流れるかもしれない。
七赤金星の気配は、やさしい光沢を持つ金のよう。
笑顔の裏に、ちょっぴり寂しさや懐かしさが潜んでいて、
誰かとの会話や静かな音楽が、心の隙間にすっと沁みこんでくるかもしれないね。
そして、月齢25.3の月は、すでに欠けゆく過程にあり、
まるで夢の続きに触れるような淡い光を投げかけてくれるよ。
過ぎた日々の記憶がふとよみがえり、胸の奥に静かな波が寄せてくるかもしれない。
☁️ 奈央さんのひとこと
・忙しさに飲まれる前に、朝の静けさを吸い込んでみてもいいよ
・やさしい音楽や懐かしい味が、心の奥をそっとゆるめてくれるかもね
・誰かと少しだけ本音を交わすと、金の星が柔らかく光り始めるかもしれない
今日という一日が、音のない優しさで包まれますように。
まるで、木漏れ日が水面に揺れるような、心ほどけるひとときを感じてね。
読み解き
🌬️ 干支:庚申(かのえさる)庚は「金」の性質を持つ陰陽五行で、堅く、鋭く、変化をもたらす力があるもの。申も「金」に属し、夕暮れの時間帯や秋の気配を感じさせる干支だね。
庚申が重なるこの日は、内なる静けさと、何かを手放す時。
まるで熟れた果実が木から落ちるように、「終わり」が自然と訪れ、それが「次の始まり」になる流れを感じるかもしれないね。だから、少しの寂しさも、未来を迎える準備の一部なんだよ。
☀️ 六曜:先勝(せんしょう)
「先んずれば勝つ」──そんな意味を持つ日だけれど、
この日は心の勝ち負けではなく、「思いきって動くことが心を軽くする」というメッセージにも感じられるね。
特に午前中は、自分の内側にある「ためらい」や「緊張」をそっとほどいて、
小さな一歩を踏み出すと、心の風通しがよくなるかもしれないよ。
✨ 九星:七赤金星(しちせききんせい)
七赤は「金」の星でありながら、笑いや喜びを象徴する星でもあるんだ。
でもその笑顔は、ただ明るいだけじゃなくて、過去の悲しみや別れを乗り越えた人の微笑みのよう。
この日は、誰かとの「再会」や「共感」が、心をじんわりあたためてくれるかもしれないね。
おしゃべり、食事、懐かしい音楽…そういったものが、ささやかな癒しになる日だよ。
🌙 月齢25.3(欠けゆく月)
満月を過ぎて、静かに細くなっていく月。
これは「収穫の終わり」「まとめのとき」をあらわす相。
今あるものを見つめて、「もう十分だったな」と感じられる日でもあるね。
誰かや何かへの執着をそっと手放してもいい、そんなやさしい終わりの風が吹いているよ。
🍃 心に浮かぶ景色
この日、心の奥にはこんな風景が広がっているかもしれないね。
「高原の夕暮れ、少し冷たい風が草を揺らす。遠くで鈴の音がかすかに聞こえる。
空はすでに月の光を受け入れ、すべてが静かに色を落としていく…」
この日をどう過ごしても大丈夫。
そのままでも、何もしなくても、心はちゃんと季節に寄り添っているから。
今ここにいるだけで、もう立派に、風とともに生きているよ。

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