その町は、朝になると
霧がゆっくりと晴れていく小さな谷間にあった。
人々は静かに暮らしていて、
花の名より、風の香りを大切にしていた。
この日、町に暮らす女性――名を「志乃(しの)」という――は、
朝、ほんのり冷たい空気のなかで目を覚ました。
9月5日。
その日は、八白土星と丁丑の日。
ゆるやかに満ちていく月が、夜空でまだ欠けを残していた。
志乃は、昨日と同じように見えるこの日が、
なぜだか、少しだけ違って感じていた。
何かが変わりはじめている。
でも、それが“どこ”なのか、“なに”なのか、うまく言葉にできない。
ふと立ち寄った、町の裏にある山道。
子どものころ、よく一人で歩いたあの道。
いまはもう足元に草が覆い、風だけが昔を知っている。
「ただ…歩きたかっただけなの。」
誰にでもないように、志乃は小さくつぶやいた。
丑の土が持つ、静かに耕すエネルギー。
それが、この道にまでしみ込んでいるようだった。
少し歩くと、木漏れ日の下に、小さな石灯籠が見えた。
幼いころ、祖母がよく言っていた。
「あの灯りはね、心が立ち止まったときにだけ見えるものなんだよ。」
志乃はそっと、灯籠の前に立ち止まり、目を閉じた。
火の気を持つ「丁」の日――
その灯は、静かにともりはじめた。
帰り道、ふいに空を見上げると、
月が東の空に淡く顔を出していた。
満月の手前、月齢12.85。
「まだ満ちていない」
それが、こんなにもやさしい形だったなんて。
欠けていると思っていた自分。
足りない、遅れている、間に合っていない――
そんな言葉に、ずっと心を縛られていた。
でもその夜の月は、静かにこう語っていた。
「まだ満ちてなくても、
それは途中にいるということ。
途中には、途中だけの美しさがあるよ。」
志乃は、月に手を合わせるように、ゆっくりと呼吸した。
誰かに見せるためじゃなく、
何かを成し遂げるためでもなく、
「今日もここにいる自分」に、そっと灯をともすように。
その夜、窓辺で静かに淹れた茶の湯気が
ふんわりと空間を包んだとき、
志乃の心にも、ひとつのあかりがともっていた。
まだ、完成していない。
でも、今日という日を丁寧に生きたということ。
それだけで、何かが確かに“咲いた”のだと感じられた。
そして静かな余韻の中で、彼女は思った。
「わたしの灯も、
誰かの夜を、ほんの少しだけ
照らしていたらいいな。」
その夜、町の屋根に月の光が降り、
灯籠の下の道には、小さな花がひとつ、咲いていた。
心の天気予報|2025年9月5日(金)
干支(日干支):丁丑(ひのとうし)
六曜:友引(ともびき)
九星(日家九星):八白土星(はっぱくどせい)
月齢:約12.85(十三夜に近づきつつある満ち月)
天気:静かな晴れ、ときどき霧のちあたたかな光
今日は心の奥に、少し霞がかかったような、
でも確かな光を秘めた日かもしれないね。
八白土星のもたらす「山」の気は、静かに積み重ねてきた想いを支えてくれる。
焦らず、ただそのまま在ることで、ちゃんと進んでいると感じられるよ。
気温:こころの温度 20℃(やわらかく、落ち着いたぬくもり)
ほんのり涼しく、包まれるような穏やかさ。
誰かの声、風の香り、過去の記憶――
そうしたものが、やさしく今日の自分を抱きしめてくれるかもしれないね。
風:西北からのゆるやかな風(過去からの学びと、これからの覚悟)
風は少しひんやり。でも、それが逆に目を覚まさせてくれるような感覚。
過去の出来事や言葉が、今の自分に新しい意味をくれるかもしれない。
古い山道を一歩一歩登るように、心もじんわりと動いてるよ。
おすすめの過ごし方:
自分の小さな“決意”を、声に出さなくても心にそっと置いてみる。
昔好きだった本を開いて、過去の自分と対話してみる。
手のひらを温かいもので包んで、呼吸をゆっくり整える。
☁️ 奈央さんのひとこと
まだ見ぬ 頂きの上に 月ひとつ
歩む足音 風とこだます
心は、はっきりとした晴れじゃなくてもいいんだ。
ときには霧のなかで、自分の足音をたしかめることも、大切な旅の一部だから。
今日のあなたが、やさしく、深く、自分と向き合える一日になりますように。
静けさは、いつも味方だよ🍂🌙
読み解き
🔥 干支:丁丑(ひのとうし)
**丁(ひのと)**は「陰の火」。ロウソクのような、静かでやさしい炎。
**丑(うし)**は「陰の土」。まだ芽吹かぬ地中で、種が眠る場所。
この組み合わせは、「心の奥で静かに燃える願い」を表すようだね。
表に出すにはまだ早いけれど、確かにあたたかく灯っている。
それは、過去に撒いた想いの種が、土の中でふくらみはじめている証かもしれない。
🌿**→ 今日の心は、表面は静かでも、内側ではじわじわと「何かが芽生えようとしている」感じだよ。**
🪶 六曜:友引(ともびき)
友引の日は、もともと「争いを避け、調和を重んじる日」。
でも本当の意味は、「誰かとの感情の共鳴が起こりやすい日」なんだ。
今日ふと心に残った誰かの言葉、
思い出した面影――
それらが、実は大切な内なる声とつながっているのかもしれない。
🌿**→ 心が誰かと“つながる”ことに敏感になっている日だね。小さな優しさが、長く心に残るかもしれない。**
🪨 九星:八白土星(はっぱくどせい)
八白は「山」の象意をもつ星。
山は、動かずしてすべてを見渡す存在。
でもその内部では、岩が重なり、静かに地熱が育まれている。
この日は「変化と再出発」「根を張る決意」「登る意志」を暗示しているよ。
少し重みを感じるかもしれないけれど、それは「進む前の踏みしめ」でもあるんだ。
🌿**→ 今日の心は“準備のとき”。前に進むより、足元を確かめたくなるような日だね。**
🌕 月齢12.85(満月直前)
月はほぼ満ちている。
でも「まだ完全ではない」という、この“ほのかな欠け”がとても大切。
それは「未完成の美しさ」、
「いまの自分をまるごと受け入れるやさしさ」。
あと少し、がんばらなきゃ…じゃなくて、
「今は今で、もう十分美しい」と、そっと月が語りかけてくれてる。
🌿**→ 今日の月は、「無理をせず、今の心を抱きしめること」をそっと導いてくれる存在だよ。**
🍂 今日の心模様(総まとめ)
内なる灯火が、まだ土の中でそっと燃えているような一日。
人との繋がりが静かに響きやすく、やさしい共鳴が心を温める。
変化は静かに始まっているけど、それはまだ表には出ていない。
月が伝えるのは、未完成の今の自分を愛おしむというメッセージ。
焦らなくていい。
登りきらなくていい。
いまはただ、
「この場所にいる自分」を、
深く、静かに受けとめてあげる日。
心は、静かな山のように。
月は、やさしい灯りのように。
今日も、あなたのすぐそばで、ちゃんと息づいてるよ🍁🌙

丁丑の夜、月が照らす道
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